Cloudflare Workersのバンドルサイズ制限が緩和され、2026年9月4日から、Freeプランを含むすべてのプランで非圧縮64 MiBまでデプロイできるようになりました。
これまで容量制限を意識していた開発者にとっては、利用できるライブラリやプラグインの選択肢が広がる変更です。特にAstroを使ったWeb制作では、依存パッケージが増えたときのサイズ制限が、これまでより問題になりにくくなります。
一方、Cloudflare Workersには実行環境やNode.jsとの互換性など、サイズ以外の制約もあります。今回の変更で何が変わるのか、Cloudflareが開発するCMS「EmDash」の動きも含めて見ていきます。
Cloudflare Workersの容量制限はどう変わった?
Cloudflareは2026年9月4日、Workersのバンドルサイズ制限を変更しました。
従来は、gzipで圧縮した後のファイルサイズに上限が設けられていました。Freeプランでは3MB、Paidプランでは10MBまでとなっており、これを超えるとデプロイできませんでした。
今回の変更では圧縮後のサイズ制限がなくなり、全プランで非圧縮64 MiBまでデプロイできるようになっています。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| Freeプラン | 圧縮後3MBまで | 非圧縮64 MiBまで |
| Paidプラン | 圧縮後10MBまで | 非圧縮64 MiBまで |
| 圧縮後のサイズ制限 | あり | なし |
MiBとMBは厳密には異なる単位ですが、従来と比べて大幅な緩和であることに変わりはありません。
詳しくはCloudflareの公式発表で確認できます。
そもそもバンドルサイズとは?
バンドルサイズとは、プログラム本体や利用するライブラリなどをまとめたファイルのサイズです。
Webサイトを作るときは、自分で書いたコードだけでなく、フレームワークやプラグイン、外部パッケージなども利用します。それらをまとめた結果、デプロイするファイルのサイズが大きくなることがあります。
一般的なレンタルサーバーでは、必要なライブラリやプログラムを追加してサイトを構築することが多く、デプロイするプログラム全体のサイズを細かく意識する場面はそれほど多くありません。
もちろん、レンタルサーバーにもディスク容量やデータベース容量、CPU使用率などの制限はあります。ただ、一般的なWebサイトを運営する範囲では、すぐに上限が問題になるとは限りません。
そのため、開発時には機能の実装やページの表示速度を重視し、デプロイするプログラム全体のサイズまでは意識しないこともあります。
一方、Cloudflare Workersのようなサーバーレス環境では、実行環境やデプロイ方法に固有の制約があります。便利なパッケージを追加しただけでも、バンドルサイズが上限を超えてしまうことがありました。
Astroのプラグインや依存パッケージにも影響する
Astroは、表示速度やサイト構成を考えながらWebサイトを制作できるフレームワークです。静的サイトだけでなく、サーバー側で処理を行う構成にも対応しています。
Cloudflare Workersと組み合わせれば、サーバーを用意せずにサイトを公開・運用できます。
ただし、Astroのプロジェクトで利用するプラグインやパッケージによっては、ビルドやデプロイで問題が起きることがあります。
例えば、次のようなケースです。
- プラグインや依存パッケージが増え、バンドルサイズが大きくなる
- パッケージが利用するNode.jsのAPIにWorkers側が対応していない
- ファイルシステムなど、実行環境の違いによって処理が動かない
- ビルド時のメモリやCPUなどが原因で処理に失敗する
今回のサイズ制限の緩和によって、バンドルサイズが原因だった問題は解消しやすくなります。
ただし、サイズ制限の緩和ですべてのビルドエラーや動作上の問題が解決するわけではありません。
パッケージが必要とする機能にWorkersが対応していなければ、サイズに余裕があっても動かないことがあります。容量の問題と、実行環境の互換性の問題は分けて考える必要があります。
Node.jsとの互換性も拡張されている
Cloudflareはサイズ制限の変更に先立ち、2026年8月4日にもWorkersのNode.js互換性に関する変更を発表しています。
互換性日付を2026年8月4日以降に設定したWorkersでは、対応するNode.js APIを利用するための互換性機能がデフォルトで有効になりました。
これにより、従来は追加設定が必要だった機能を利用しやすくなっています。
Cloudflare公式:Node.js互換性機能のデフォルト有効化
ただし、Node.jsのすべての機能が使えるようになったわけではありません。利用できるAPIには制限があり、実際に動作するかはパッケージや処理内容によって異なります。
サイズ制限の緩和とNode.js互換性の拡張は、それぞれ別の変更です。両方を把握しておくことで、Workersで利用できるライブラリや開発方法の選択肢を考えやすくなります。
Node.js APIの対応状況については、公式ドキュメントも参考になります。
Cloudflareが開発するCMS「EmDash」との関係
Cloudflareは2026年4月、オープンソースのCMS「EmDash」を発表しました。
EmDashはAstroをベースにしたフルスタックCMSです。CloudflareはWordPressの「spiritual successor」と位置づけ、プラグインのセキュリティ問題などに取り組むことを打ち出しています。
特徴のひとつが、プラグインを分離された環境で実行する設計です。プラグインがサイト全体へ無制限にアクセスするのではなく、実行環境を分離することでセキュリティを高める考え方が採用されています。
Astroを基盤にしたCMSを展開し、サーバーレス環境での利用も視野に入れていることを考えると、CloudflareがWebアプリケーションの開発環境を広げようとしている流れが見えてきます。
今回のWorkersのサイズ制限緩和も、こうした動きとあわせて見ることができます。
ただし、Cloudflareは今回の制限変更について、EmDashへの対応が理由だとは公式に説明していません。両者を直接結びつけて断定することはできません。
容量制限が緩和されても、軽量化は必要?
デプロイできるサイズが大きくなれば、利用するパッケージを選ぶ際の制約は少なくなります。
これまで容量の都合で採用を見送っていたライブラリも、検討しやすくなるでしょう。
一方で、サイズ制限が緩和されたからといって、何でも追加すればよいわけではありません。
不要なパッケージが増えれば、ビルド時間や管理の手間が増えることがあります。ブラウザへ送信するJavaScriptが増えれば、ページの表示速度に影響する可能性もあります。
ここで意識したいのは、Workersにデプロイするプログラムのサイズと、ブラウザに送信するファイルのサイズは別のものだという点です。
例えば、サーバー側だけで使うライブラリが大きくなっても、それがそのままブラウザへ送信されるとは限りません。逆に、ブラウザ側で大量のJavaScriptを読み込めば、Workersのデプロイサイズとは別に表示速度への対策が必要です。
制限を気にしすぎて必要な機能まで諦める必要はありませんが、軽量化を考える意味がなくなったわけでもありません。
低コストで運営するからこそ、制約を意識する
Cloudflare Workersを利用する利点のひとつは、構成によっては運用コストを抑えられることです。
実際に私が運営しているサイトでも、基本的な維持費をドメイン料金中心に抑えています。
ただし、制約のある環境でサイトを構築するのは、必ずしも簡単ではありません。
Astroを使った開発でも、プラグインや依存パッケージによってビルドやデプロイがうまくいかず、構成を見直す必要が出てくることがあります。
一般的なレンタルサーバーなら、必要なパッケージを追加して動かせば済む場面でも、Workersでは実行環境の違いやサイズ制限を考慮しなければならない場合があります。
こうした制約は開発の難しさにつながりますが、どの機能が必要なのか、どこまで依存パッケージを増やすべきなのかを考えるきっかけにもなります。
今回の制限緩和によって、以前よりも選択肢は広がりました。それでも、私は従来のサイズ制限を意識しながら、できるだけ軽量な構成を保つ方針で運用していくつもりです。
制限がなくなったわけではありませんが、以前より余裕ができたことは確かです。
デプロイ前にバンドルサイズを確認する
Workersのサイズは、デプロイ前に確認できます。
Wranglerを使っている場合は、次のコマンドでデプロイせずにビルド結果を確認できます。
npx wrangler deploy --outdir bundled/ --dry-run
出力に表示される Total Upload は、圧縮前のサイズを確認する際の目安になります。gzip後のサイズも表示されますが、今回の変更後は圧縮後のサイズがデプロイ上限を決める基準ではありません。
プロジェクトの構成やWranglerのバージョンによって出力内容が異なる場合があるため、実際の表示も確認してください。
サイズに余裕があっても、デプロイ後に正しく動作するかは別の確認が必要です。プラグインや依存パッケージを追加したときは、ビルドが成功するか、実行時にエラーが出ないかもチェックしておきましょう。
Cloudflare Workersで広がるWeb制作の選択肢
Cloudflare Workersのサイズ制限緩和によって、利用できるライブラリやパッケージを検討する際の余裕が増えました。
Astroのようなフレームワークを使う場合も、以前よりサイズを理由に採用を諦める場面は減ると考えられます。
一方で、実行環境との互換性やビルド時の制約は残っています。サイズだけを見て判断するのではなく、使いたい機能がWorkers上で動くかどうかも確認する必要があります。
低コストで柔軟なサイト運営を目指すうえで、制約を理解しながら構成を選べることは大切です。
今回の変更は、Cloudflare Workersを使ったWeb制作の可能性を広げるものといえそうです。














